痛みの種類と役割について

痛み(疼痛ともいいます)は身体に生じる危険を察知したり、回避することで身体を正常に保とうとする防御の役割を果たしているといえます。
私達が感じる痛みには、鋭く刺すようなものがあったり、鈍くズキズキするようなものがあったりとさまざまです。
また痛みが生じる直接的な原因にも、切り傷や打撲などさまざまであり、痛みがすぐに治まる場合もあれば長期にわたって持続する場合があります。
このように痛みには種類があり、またどのような種類や役割があるのかについて触れていきます。
まず痛みを神経学的からみると、大きく3つの種類に分類することができます。

侵害受容性疼痛
これは正常な組織の傷害もしくは危険性を有する刺激によって生じる痛みです。
身体には痛みを感じる受容器というセンサーがあり、侵害受容性疼痛ではC繊維、Aδ繊維とよばれるセンサーが刺激を感知する役割をしています。
またこれらのセンサーを刺激する因子として発痛性の化学物質である、ヒスタミンやプロスタグランジン、サブスタンスPなどの関与が挙げられます。
つまり組織が傷付くことにより、これらの発痛性物質が放出されてセンサーを刺激、その刺激の信号が中枢神経に伝達されて痛みを感じるとされています。
神経障害性疼痛
これは侵害受容器の刺激によらず、何らかの原因によって末梢もしくは中枢神経に異常な興奮が生じることによって起こるもの、すなわち神経そのものが原因で起こる痛みです。
心因性疼痛、心理的痛み
これは身体的に明らかな原因が見当たらないにもかかわらず生じる痛みです。
原因には心理的、社会的要因などが複雑に関与することが考えられていますが、侵害受容性疼痛や神経障害性疼痛が長期に続くストレスから引き起こされる心理的痛みと考えられています。
次に痛みを経過からみると、急性痛と慢性痛の2種類に分類することができます。
急性痛は主に侵害受容性に起因する場合が多く、原因が除去されれば短期間で治まることが多いのに対し、慢性痛は原因が除去できない場合や仮に除去された後でも長期にわたって慢性化し痛みが続く場合が多いです。

血行が良くなると痛みが治まることもある

痛みは身体防御のための重要な役割を果たすものであり、不可欠なシグナルです。しかしながら同時に心身に苦痛をもたらす要因となることがあります。
特に痛みが慢性化すると心身に与える悪影響は少なくありません。このことから痛みが治まることや緩和することは重要になってきます。
そこで痛みの治まりについて触れます。そもそも身体には下行性疼痛抑制という機能があるとされています。
つまり痛みが生じると脳から脊髄神経を経由して痛みの信号を発している侵害受容器の感度を下げたり発痛性物質の放出を抑えたりするメカニズムです。
これにはノルアドレナリンやセロトニンなどの神経伝達物質が関与するとされています。
このように身体には痛みをコントロールするメカニズムがありますが、こうした鎮痛作用を目的として状況に応じて薬物による治療が行われることがあります。
しかしながら他にも痛みの軽減もしくは緩和につながる可能性がある考え方もあります。一般的に痛みが生じると交感神経が緊張して血管や筋肉の収縮をもたらすことになります。
そして血管や筋肉が収縮すると血行が悪くなってしまうため、何らかの要因で損傷を受けた組織は虚血状態をきたしやすくなります。
虚血状態をきたしてくると、組織から発痛性物質の放出が促されてしまい、さらに痛みが増強する要因につながってしまいます。
そのため、血行を良くしていくことは痛みの軽減や緩和のためには重要な要素のひとつであるといえます。
したがって、例えば温熱で温めることで交感神経の緊張を和らげるとともに血管拡張を促し、血行が良くなれば組織の虚血が改善、発痛性物質の放出が抑えられて結果として痛みが治まってくることがあります。