ボルタレンやセレコックスの作用について

ボルタレンもセレコックスもよく病院で処方される、優れた抗炎症作用のある鎮痛剤です。
どちらもステロイド作用を持たない、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に分類されます。
NSAIDsは「プロスタグランジン」と呼ばれる炎症物質の合成に関わる「シクロオキシゲナーゼ(COX)」の働きを抑制することで炎症を抑え、痛みを和らげる薬です。
日本には現在、100種類以上のNSAIDsが存在します。ボルタレンもセレコックスもこのNSAIDsに属しますが、有効成分や作用の強さ、副作用の出やすさなどに違いがあります。
ボルタレンは「ジクロフェナク」を主成分とした、NSAIDsに属する薬の中でもトップクラスの強い効果がある解熱鎮痛剤です。
しかし効果が強力である一方で、副作用も強く出るという特徴があります。
セレコックスは「セレコキシブ」を有効成分として含有します。ボルタレンほど強い効果があるとはいえないものの、比較的持続性がある薬です。
セレコキシブは2007年に承認を取得した新しいNSAIDsといえ、その最大の特徴は副作用の少なさにあります。
先ほどの説明にあった「COX」には正常時安定的に産生される「COX-1」と、炎症時に過剰に産生される「COX-2」が存在します。
簡単にいえば、善玉がCOX-1、悪玉がCOX-2というわけです。ボルタレンの有効成分であるジクロフェナクはCOXを阻害する作用が強力ではあるのですが、COX-1、COX-2の両方を区別することなく阻害します。
COX-1は血管拡張や胃の粘膜を保護するといった生理機能として必要な働きを任っており、これを阻害することで強い副作用があらわれるのです。
対してセレコキシブはCOX-2のみを選択し阻害するため、ボルタレンなど従来のNSAIDsに比べ胃腸障害などの副作用が出にくいといえます。このためセレコキシブは「COX-2選択的阻害薬」と称されることもあります。

ボルタレン・セレコックスの副作用

ボルタレンは先ほどのとおり、COX-2とともにCOX-1をも阻害してしまうことで強い副作用があらわれることがあります。
特に多いのが胃潰瘍や消化管穿孔などの胃腸障害で、これはCOX-1を阻害することで胃の粘膜を保護する作用が損なわれるために起こります。
これらの副作用は男性よりも女性のほうが生じやすく、また年齢が高いほど生じやすいこともわかっています。
このような条件に該当するひとや、もともと胃腸の弱いひとは十分に注意して服用する必要があります。
一方セレコックスはCOX-2のみに作用することから、胃腸障害の副作用は非常に少ないことが明らかになっています。
しかしセレコックスなどのCOX-2選択的阻害薬には、これとはまた別のリスクが存在します。それが心筋梗塞など心血管系の副作用です。
COXの作用について先ほど説明しましたが、それ以外にも重要な働きがあります。実はCOX-1には「血小板凝集作用」があり、COX-2は真逆の「血小板凝集阻害作用」があるのです。
従来のNSAIDsの場合、この両方を阻害することからバランスがとれ、心血管に副作用がみられることは少なかったと考えられます。
しかしCOX-2のみに作用するCOX-2選択的阻害薬ではCOX-1の血小板凝集作用だけが残り、血栓ができやすい状態になってしまうのです。
こういったことが原因で起こる心血管系の副作用は頻度こそ高くはありませんが、長期わたり継続して使用する場合には注意が必要です。
このようにボルタレン、セレコックスともに高い効果を期待できる鎮痛薬ですが、それぞれ違った副作用のリスクがあります。
医師や薬剤師の指導のもと正しく服用し、日々の生活に役立ててください。